悔しい…

 生まれつきの知的な病気があって、医者だけでなく、知らない人と会うだけで悲鳴をあげてパニックになってしまう70代の高齢女性。

 なぜか毎日、ノートに小さな◯をひたすら書き続けるその高齢女性のお宅に頼まれて訪問に行って初めてお会いした時に、怖がる彼女の様子を見て、とっさに私も彼女のノートに小さな◯をたくさん書いて、一気に打ち解けた事があったなあ…。

 在宅で患者さんを診るということは、そのご家族も一緒に関わっていくということで、患者さんご本人には好かれても、ご家族が気に入らなくて他の医者に代えさせられたりすることもあります…。

 医者って人間力を求められる職業なので、外来診療は当たり前ですけれども、在宅で診ていく場合にはご本人だけでなく、ご家族にも本当に気を使います。

 埼玉の猟銃殺人、私だったら殺されるまでにはいかなかったか…?なんてこの週末ずっと考えていました。

 あの事件は、介護が行き届かなかったとか、医者のことが気に入らなかったとかいうそんなレベルの話ではなく、ただの異常なマザコンおじさんが、母親を失ったことで先が見えなくなって、関わった医療従事者を逆恨みして、(偏見ならすいませんが両親の年金などをあてにして生きてきたのか?)この先の生活に絶望して先生方を巻き込んで自殺しようとしたけど、所詮ショボい人間なので自分は死ねなかった身勝手な猟奇的な殺人事件だと思います。

 こんなことで在宅診療している医療関係者が萎縮してしまわないか?なんていう意見がありますけど、こんなレアなケースはまずないでしょうからねぇ。

 医者は人として「先生!」と呼ばれるにふさわしい存在でなくてはならないのですが、相手も「人」なので、同じ想いで接していても好ましく思わない方もいるわけで…。

 しかし、今回の猟銃殺人、そして大阪の放火事件、あれからずっと私の頭の中に残っているくらい、本当に酷すぎる。

 私はなぜか他で診てくれないような問題のある方の訪問診療をよく頼まれるのですが、私も変人だからなのか(?)大概の問題のある方には好かれますけど、今回の容疑者と接していたらどうなっていたのか…。

 気難しいご家族にあたると、とことん話し合って、こちらの考えとあちらの考えを擦り合わせるのですが、、それでもやっぱり今回は猟銃を向けられたのかなぁ…(ToT)

 最近、同業者が殺されるニュースが多くて、本当に腹立たしいし悔しいし許せない…。

 一生懸命頑張っている医者を殺すなんて!医者が毎日どれだけのストレスと向き合っているのか分からんのかっ!くそぉ…悔しい!((ヾ(≧皿≦メ)ノ))